KIM・KI・DOKという男 | TERRA EXTRANJERA

KIM・KI・DOKという男

 映画の都Paris。ここ最近日本では韓流なるものが流行しているみたいだが、去年のカンヌ映画祭も韓国人監督のオールド・ボーイがグランプリに輝いた。まあこれは偶然が重なっているのだろう。去年の審査員が奇才クエンティ-ン・タランティ-ノの影響もあるだろうが・・・


 Parisでも、つい最近まで或る韓国人監督の特集をやっていた。その名は。KIM・KI・DOK 日本でもキム・ギドクとして一部の映画ファンには名が知れているだろうが。彼の映画はあまり一般受けするような映画じゃない。韓国でも映画評論家には手厳しい批評をされているらしい。


 韓流という言葉がまだ聞かれない頃、僕はこの監督の『魚と寝る女』という映画を日本に住んでいた頃、ビデオで見たが、透明感ある映像と奇抜なシナリオが妙に癖のある監督だと思うだけでそこまでマークしていなかったが、Parisでさすがに監督週間までやるような監督であればマークする価値はあるだろうと思い、公開している映画を何本か鑑賞した。考えてみると始めて映画料金を払い、韓国映画を観たのであった。ちなみにParisの映画料金は大人一枚8・50ユーロ日本円にして1300円位だろう。余談だが僕はいつもMK2という配給会社の三回券を購入している。それだと1回の映画を鑑賞するのに6・5ユーロで観れるのだ。


 話を戻すがキム・ギドクの映画は人間の心に潜む陰を焦点に作り上げていると思う。まあこれは過去に様々な監督が表現主体として取り上げているテーマだが、キム・ギドクにしか作れない独特のスタイルを持っていると思う。泥臭さい映像の中に突然、透明感のある映像を入れるとか、セオリ-を無視したシナリオに編集、会話主体じゃなくて演技で見せる。そして良く使われるピアノソロの伴奏。イメージで志向する監督だと思った。フランスでも彼の新作公開日には席を埋め尽くすほどファンの心を魅了している。


                       


 そう言えば4月13日から彼の新作「LOCARAIRES」が公開している。感想は批評家じゃないので差し控えるが僕は既に鑑賞し好きな部類の映画だった。日本語の直訳は「借家人」である。近いうち日本公開されるだろう。芸術に国籍を問わないParis。そこが僕のParis愛する理由の一つだ 。

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