Exils | TERRA EXTRANJERA

  Exils

              今更ながらポルトガルの旅行記について書きたい。


      あれからもう一ヶ月以上経つのかと思うと、時間の経過とは本当に早いものです。   


              交通手段は、前回のベルリン同様ユーロ・ラインズ。


                 


                チケットは10日間で115ユーロ(TAX込み)


   だが、或る意味で時間を気にしない人か、エコノミーな旅行を好む人にしかお勧めしない。 


      何故かというと、片道28時間と言う長旅。それはそれは長い旅なんです(苦笑)


                  Parisを南下してToursを途中通過


          そんな、フランスの素朴で広大な田園風景を見ながらの旅。



       Bordeaux(ボルドー)付近のCarenteシャロント)という村で食事休憩。


         ココの酒場ではVinがCafeと同じ値段なので飲んでみることにした。


             ちなみにParisはCafe一杯が立ち飲みで1・10Euro


 ParsだとVin一杯が安くても2・50Euro位だが、ココではCafeと同じ値段。さすがBordeaux !!


                        C est bon !!


       そんな感じで,、土地の旅情的なものも感じながら、またバスは南西へ走る。


今度はピレネー山脈に突入、途中Bayonne(バイヨンヌ)を通過。ココからPays Basque(バスク国)である。


           下記はバスクの国旗。バスクは歴史のある自治国でもある。


                     


        僕は昔からバスク音楽などに興味を持っていたので憧れの土地だった。


    切欠はヌーベル・バスク・ミュージックのAlaitz eta Maider (アライツ エタ マイデル)


        


            彼女達の歌を通してバスクの悲惨な歴史と文化を知った。  


     また、小さい国ながらバスク人としての誇りを持って生きていることに共感できた。                    


         そして、バスクを通過すると、いよいよEspagne(スペイン)に突入 !!


                     


       今回、フランスからスペインへ南下する旅をしながら或る映画を思い出した。


                


   第57回カンヌ映画祭のコンペンションに出品し、監督賞を受賞。トニー・ガトリフ監督の作品。


                  日本公開のタイトルは愛より強い旅


              なんか邦題に違和感を感じるのは僕だけだろうか・・・


                       話を元に戻そう。     


       ポルトガルに向けて長距離バスは南西へ。ほぼノンストップで、ひたすら疾走。


             体が鈍り、関節や臀部が痛み出す。寝付けない時間が続く。


                そして、スペインを通過しているのは深夜帯。


                        そう言えば・・・


    今から4年半前、初めてEUをバックパーカーしていた頃、スペインでは痛い思いもした。


        車窓の先に広がる暗闇を見つめながら、そんな過去の思い出を回想する。


                 あれはマドリッドを訪れた時のことだ。


    ポルトガルからマドリッドへ深夜に入り、Hotelを探す為にソル広場を彷徨っていた。


   しばらく探していたが、何処も満室の状態。確か週末だったのでなおさら条件が悪かった。


  そんな状態で途方に耽けていた時に、或るHotelの主人が空いているHotelを教えてくれた。


              僕は藁でも縋る思いで、その場所へ向かう事に。


      その教えてもらったHotel は何故かどん底 という日本料理屋の隣にあったのだ。


                


            その時は、ネーミングから言ってなんか不吉な予感もした。


    だが、体も心も疲れていたし、深夜という時間帯だったので、兎に角Hotel のベルを鳴らした。


                 しかし、今思い返すとそれが間違いだった。


    エントランスのドアを開けると背後に3人組の若い男が続いて入ってくるではないか。


            この状況で危険を感じた僕は、彼らを先に歩かすように進めた。


       すると、彼らはエレベーターに乗ろうとしたので、僕は階段を使って上へ向かった。


                 その時、3人組の1人が声を掛けてきた。


     あれは確か『エレベーターに乗ればいいじゃないか』という感じのスペイン語だった・・・


             そんな言葉を掛けられた時、僕は何か嫌な胸騒ぎがした。


                 なので、とりあえず丁寧に 『Non』 と断った。


                        だが、既に時遅し !!


      予感は的中した。奴らはハイエナのように僕に飛びかかり、身包みを剥ぎに来た。


そして、1人は背後から首を絞め、1人は荷物を奪い、一人は前から黒い凶器を持ちながら殴りに来た。


        今、改めて思い出すとあれはピストルだったんじゃないかと思いさえもした。


      また、チョーク・スリーパーで首を締められ声も出ない状態。意識が殆ど無かった。


     ついでに、もう過去のことなので書いてしまうが、その時は恥ずかしながら失禁もした。


                            敗北


                     全ては計算された狩りだった。


        きっと、石器時代の原始人も、こんな感じでマンモスを狩っていたのだろう。


        そんな訳で、意識を取り戻した時は既に遅し。体の痛みだけが残っていた。


            そして、僕のカメラ機材や手荷物は全部奪われていた。


                           だが・・・


   命とパスポートと航空券にクレジットカードだけは、隠しポケットに入れていたので無事だった。


                 考えようによると、或る意味これは幸運なのだ。


       僕は、その状態で航空券の残り期間1ヵ月を、ズタ袋1つで旅を続けることにした。


                           抜け殻


あの頃は、正にこの言葉が相応しい姿と精神状態だった。そして、後に僕の芸術のテーマにもなったのだ。


              この話は、ほんと長くなるので、この辺にしておきたい。


                       そんな事を回想しながら


      車窓越しに見つめていた暗闇から、空の方に顔を向けると、満天の星空が輝いていた。


       目に付いたのはオリオン座だった。その中でも一等星のプロキオンを見つけた。


             続いて、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座ベテルギウス


この三つをそろえるとトライアングルが出来るんだっけ ?! 何故かこの星の名前だけは今でも覚えている。


               そして、バスは刻々とポルトガルへ進んでいた・・・


                     


                            PS


        文章が長くなりましたので、ポルトガルの旅行記はまた次回書きます(苦笑)


                                                          Monde