階段通りの人々 | TERRA EXTRANJERA

階段通りの人々

                   日本に帰ってきて既にニヶ月経過。


 最近やっとのことで、ポルトガルで購入したLa Chasse ( 邦題 階段通りの人々 )と言うDVDを鑑賞。


                     勿論、全編ポルトガル語のみ。


          だが、僕は何処の国でも映画館で映画を観て楽しむ方法を学んだ。


               台詞も大事だが全て理解するのは困難なものだ。


 言葉だけに頼らず映像、構図、演技、音楽、その国での観客の反応などを自分なりに解釈しながら観ると


              不思議なもので少しではあるが物語が読めてくるもの。


           あくまでも、この鑑賞法は思い込みの才能と錯覚を必要とするのだ。


          僕は、そんな我流の映画鑑賞法でフランス滞在期間は映画を楽しめた。


                 


               監督はポルトガル映画界の巨匠Manoel de Oliveira


           このDVDを見終えたあと、あの白い街 で過ごした10日間を回想した。


                 


                   今回で三回目の訪問でもあるリスボン。


     二回目の訪問の時に抱いた『また、この土地を訪れたい』という気持ちが通じたのか


                      『二度あることは三度ある』


                    この言葉は、どうやら本当らしい・・・


                            そして


                  何故、この街にこれほど郷愁を抱くのか?!


           それは単なる思い込みだと思うだろうが、それじゃ話が詰まらない。


                   きっと何かの因果が働いているのか?!


                    そんな他愛の無いことを夢想した。


     


           あの階段通りで出会った人々は、今頃何をしてるのだろう?


         子供達は相変わらず路地裏でフットボールでもしているのだろうか?


       窓越しに干してある洗濯物は穏やかな陽を浴びながら風に靡いているのか?


 あの居酒屋の親父は、相変わらず無愛想にVinho do Porto (ポルト酒)を客に注いでいるのだろうか?


 ホテルの近くにあったAZULEJO (アズレージョ)工房からは、今日も歌声が聞こえてくるのだろうか?


                 


                    僕にとってリスボンとは何だろうか?


                ハッキリとした答えは判らないが、いま思えることは


        きっと場所に囚われず、何処の国でも見られる光景が一番印象に残るのだ。


               その時の気分がリスボンだっただけなのかもしれない。



       

 
                陽も沈み、バイーシャ地区は活気が溢れる。


           遠くから流れるFado (ファド)のメロディーがサウダージに誘いこむ。


       しばらくしてF・ペソアの彫像と共にcafeを飲みながら、言葉無き対話をすることに・・・


                


                    突然だが映画の話をココで1つ


         最近観たナイロビの蜂 という映画のあるシーンでこんな台詞があった。


   主人公が祖国イギリスに帰郷し久々にイタリア系移民のイギリス人と再会する場面である。


            イタリア系移民のイギリスの友人は主人公にこう答えた。


                『ラテン民族の気質のせいか涙もろくて・・・』


                  笑える台詞だが何故かカッコいい!!


                         話を戻そう


              ペソアと過ごした時間はそれとは対照的であった。


     ペソアの表情はラテン民族には珍しく神経質で何処か遠くを見つめた虚ろな視線。


      彼の感情は全て紙面上に書き殴ったポエジーに見て感じ取れる取れるようだ。

               

       

                   今回、ポルトガルを訪れた動機は


    僕の約三年間のヨーロッパ滞在の終止符を打つのに相応しい場所だと思ったからです。

          だが、今回でポルトガルを訪れるのが最後だとは何故か思わない。


           そしてポルトガル以上にフランスにも同じ思いを抱いている。


      何時かまたヨーロッパに訪れる日が来るような気がしてたまらないのも確かだ・・・


                                                           Monde