午前5時のフレデリック・ボワレ考 | TERRA EXTRANJERA

午前5時のフレデリック・ボワレ考

                            AM 5:05

                   室内を振り子時計が刻々と時を告げるなか

  僕は白灯ランプの篝火が照らす埃まみれの薄暗い自室で 一冊のヌーベル漫画を片手に読み耽っていた。

                  何故そんな時間に?


まあ兎に角、事の発端はこの様な訳なのだ。

            普段、漫画を余り読まない僕に或る友人が薦めてくれた一冊である。

           断っておくが、別に漫画を軽蔑している訳ではない事を付け加えておきたい。

              何故かと言うと、僕の物事の優先順位は映画から始まるからだ。

          要は好みの問題である。漫画まで手をつけるには余りにも時間が足りない。

      話を戻すが、今回Le film clandestinと言う映像集団主催のビデオ上映会のゲスト候補に

 フランス人のBD作家(バンド・デシネ)フレデリック・ボアレ 氏と言う東京在住のヌーベル漫画家が挙がった為


                 友人が所有している作品を読むという訳なのだ。


              余談だが友人はフレデリック・ボアレ氏のコレクターでもある。


                   

                   そんな訳で今回の記事を書く資料の為に

    真夜中の二時に友人の家まで自転車で全力疾走で飛ばしてまで手にした二冊のヌーベル漫画。



                   
      


              一冊は『恋愛漫画が出来るまで』フレデリック・ボアレ短編集。


          もう一冊はjapan×france manga collectionに掲載の『アモール商店街』


  まず、手始めに『恋愛漫画が出来るまで』を手に取り、座り心地の悪いソファーに 腰を下ろしながら

                    当たり前のように右開きで読んでみた。

ページを捲り、三ページ目に『une belle manga d’amour』とタイトルが記入してある 或る一面で手が止まった。

        そこには『Alain delon cigarettes』の看板越しに一人のアジア人女性が描かれていた。


                    

               顔付きから見て 東南アジア系の顔立ちをした少女だろうか?

気になりながらそのままページを捲ると東京の町並みや、普段我々がよく見る写実的な光景が描かれている。

                『今日こそ恋しなければ今日こそ…でも誰に?』

        この一文を気に僕はフレデリック・ボアレ氏の世界観に自然と足を踏み入れていた。

           その時の心境を何かに例えるなら、線香花火に火を付けた瞬間だろうか?

    そんな事を思いながら 好奇心に駆られページを捲ると、或るページでまた手が止まった。

                 冒頭の東南アジア系の少女の正体が判ったのだ。

            『カンボジアのプノンペンでタバコを売るクメール人の少女』だった。

       主人公(ボアレ氏自身?!)がカンボジアを題材にした旅行記の漫画の資料であった。

               非常に凝った冒頭の演出に思わず顔が微笑んでしまった。


          きっと、このヌーベル漫画を書店などで立ち読みしていたら第三者にとって


                   不審な人物だと思われるに違いない。


                           間違いない!!

     だが、そんな思いも他人事の様に感じながら、気がついたら夢中になって読み耽っていた。

                       そんな感じで次回へつづく…


                              追伸    


            皆さんホント今更ながらですが、あけましておめでとうございます。


             今年より旧Blog『L'Ecume des jours』は名称変更します。


            何故かというと、『Le film clandestin』という活動に携わる為。


       2月24日にcafe flaneurにて東京フラヌール という自主映画会を企画しています。


         今後も様々な活動情報と共に、些細な手記も綴って行きたい次第です。


                  まあ、そう言う訳でこれからも宜しくお願いします。                           

                                                    Monde