ひかり祭り
2007年夏の終わり
廃校になった小学校を鮮やかな光や映像で飾る「ひかり祭り」で披露された映画
『The book of light』
SOMEONE’S GARDEN製作、Le film clandestin監督
ニコラ・フォルミケッティがプロデュースするセレクトショップ「Side by Side」の全面協力によって
全く新しいファッション・フィルムが姿を現した。
闇の中で光る1冊の「光の本」、それをめくるところから物語は始まり
やがて読んでいる少女の現実と虚構が錯綜していく…
古くはロヴェルト・ヴィーネの『カリガリ博士』からウディ・アレンの『カイロの紫のバラ』まで
主人公を軸として内と外の世界が交錯するという手法の語り口がある。
それが成立するには、奇術やスクリ-ンなど各々の世界のエントランスとなるアイコンの存在と
白昼夢や妄想など主人公が夢想的な精神状態にあることが必須条件である。
本作『The book of light』にとってそれは「光の本」がエントランスであり
また少女が見る「夢」が観客を夢想的に導く役割を果たしている。
2007年8月11日、神奈川県の山中奥深くに存在する「牧郷ラボ」に
SOMEONE’S GARDEN + Le fim clandestinクルーは到着した。
廃校となった小学校の木造校舎を改造し
今は多数のアーティストが所属するアート・レジデンスとなっているこの場所では
毎年夏の終わりに『ひかり祭り』 という光と映像で校舎を彩るサマーフェスが開催されている。
かつてUAなど大物アーティストも参加したこのイベントに今回参加することになった同クルーは
ここを舞台に『The book of light』の撮影を決行。
カメラは「ローリング・ストーンズ」誌イタリア版を始めとするカルチャー誌で異彩を放っている
ロレンツォ・バラッシ
主演には数々のファッション誌で活躍中のmika yoshinagaを迎えた。
mikaが見る夢をロレンツォがキャッチし、紡ぎだしていく作業は
その日の昼11:00から夜中の11:00まで休むことなく続いた。
そして8月末日、牧郷ラボで開催された「ひかり祭り」。
夜もとっぷり更けた頃に漆黒の体育館で
生音舞踏パフォーマンス×『The book of light』上映のインスタレーションが催された。
闇の中より登場する主人公mika。
彼女の意思で本をめくることにより彼女自身のストーリーが始まって行く。
そしてそのスクリーンの前で蠢くダンサーたち。観客たちは彼らが乗り移った様な錯覚を覚え
le film clandestin